第27回 ガイドライン前後の製薬企業の情報提供について③

2019/08/30


 
 第27回 ガイドライン前後の製薬企業の情報提供について③

 皆
様、【Oncology MR Training Project】主宰の高橋洋明です。今回も本コラムをご覧くださり、ありがとうございます。

 今回も、医療用医薬品の販売情報提供活動ガイドライン(以下ガイドライン)の施行前後における薬剤師による製薬企業への評価を比較検討してみます。そのことで、製薬企業のガイドライン対応がうまく行っているのかどうかが検討可能になることでしょう。 特に今回は、ガイドラインに対する本社等の取り組みを見てまいります。 データはネグジット総研様が実施されたアンケート結果です。アンケート名は「薬剤師対象販売情報提供活動ガイドライン現状確認調査(3月時点)」です。 この結果から、ガイドライン対応としてどのようなことがポイントになるのかを検討してみましょう。

◆(再掲) 今回の調査について


今回ご紹介する調査の概要をお知らせいたします。


調査名:「薬剤師対象 販売情報提供活動ガイドライン 現状確認調査(3月時点) ― 7社比較 ―」
サンプル数:薬剤師200名(薬局勤務100名、病院勤務100名)
調査期間:2019年4月18日~30日
調査方法:WEBアンケート
調査実施機関:(株)ネグジット総研 薬剤師調査MMPR

◆ 2019年1月~3月末までの各製薬企業の情報提供活動の状況(再掲)
このアンケートでは、製薬企業7社の医薬品の情報提供活動で、実際にあった不適切な情報提供活動として疑われるケースの有無を確認しました。

<薬局向け>(複数回答あり サンプル数100)
カテゴリ 最小値 最大値
情報を求めていないが「承認外の効能・効果、用法・用量等の情報」があった 0 4
安全性の情報不足など、恣意的な情報だった 0 3
科学的・客観的な根拠に基づかない、不正確な情報だった 0 1
資材等に引用された情報に、引用元が明記されていなかった 0 3
資材等に引用された社外の調査研究に、伏せられた製薬企業の関与があった 0 1
すべて該当なし 91 100
その他 0 4


<病院向け>(複数回答あり サンプル数100)
カテゴリ 最小値 最大値
情報を求めていないが「承認外の効能・効果、用法・用量等の情報」があった 1 3
安全性の情報不足など、恣意的な情報だった 0 3
科学的・客観的な根拠に基づかない、不正確な情報だった 0 1
資材等に引用された情報に、引用元が明記されていなかった 0 1
資材等に引用された社外の調査研究に、伏せられた製薬企業の関与があった 0 1
すべて該当なし 94 100
その他 0 1


◆ 今回の質問の結果から見直すべきことは?

今回の質問の結果からは、大きくは2つの改善すべきポイントがあります。
1つ目のMR向けの改善ポイントは前回お伝えいたしましたので、今回はもう1つの製薬企業の本社向けの改善ポイントをお伝えいたします。

● ガイドラインを遵守することの重要性を改めてMRに徹底させる

MRによるガイドライン違反は、MRのうっかりミスなどによるものも認められますが、そもそもそのようなMRを生み出すことないように本社は取り組むべきです。 ガイドラインの第2 医薬品製造販売業者等の責務 7 不適切な販売情報提供活動への対応には「不適切な活動を行った者に対しては、厳正な措置を行うこと。」と記述されています。不適切な活動を行ったMRは、社内でも肩身の狭い思いをすることになるでしょう。しかし、私自身が多くの製薬企業のガイドライン対応を担当する方々のお話を伺っていますと、製薬企業の管理監督部門がガイドラインを甘く見ていたり、危機感が乏しかったり、他社の動向だけが気になっているという状況が多々あります。
  「何を、どのようにやったらガイドライン違反にならないのか?」とか、「せっかくこちらがMRを守りたくていろんな対応を社内に提案しても、管理監督部門が全く動かない。危機感がない。」などの話をたくさん聴きます。

  本ガイドラインは、生じた不適切な情報提供活動の責任を経営陣に求めています。そのことをすっかり忘れておられるのかわかりませんが、あまりにも危機感に乏しく、動きが遅い企業が多いように見えます。

  2019年4月1日から業務記録をつけることをガイドラインは求めていますが、その対応をCRMのシステム改修だけで片付けようとして、これまで業務記録を付けていない企業も散見されます。
  今の状況のまま、もしガイドラインの主幹である厚労省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課が製薬企業に査察に入ったとしたら、皆様はMRを守りきれるでしょうか?


● 製品の販促資材を全面的に見直す

これも当然の活動です。ですが、アンケート結果の中に少数であるとはいえ、「資材等に引用された情報に、引用元が明記されていなかった」、「資材等に引用された社外の調査研究に、伏せられた製薬企業の関与があった」などは、プロダクトマネージャーが販促資材の作り方を全く理解していないと言わざるを得ません。

  私がお話を伺った製薬企業の中には、「全てのリーフレットにCOIの記載がないため、全て使えなくなった。作り直しになった。」などの対応を迫られている企業が何社もあります。

  これは本来、販促資材の作り方をきちんとプロダクトマネージャーが理解していれば、このような状況にはならないはずです。

  例えばリーフレットA4サイズで、ツヤツヤした紙(コート紙)に両面フルカラー印刷したリーフレット10,000枚制作し地方への発送までをすると、代理店にもよりますが約400~800万円くらいの費用になります。
  せっかく費用をかけて制作したリーフットが使えなくなるとしたら、それはこの400~800万円くらいのコストを無駄にしたということになります。
もしそのようなことが起こったプロダクトマネージャーは、そのことを深く反省すべきでしょう。


次回はこの続きとして、ガイドライン施行後の2019年6月の時点での薬剤師のMRや製薬企業への印象を調査したアンケート結果を一緒に見ていきましょう。

 
 

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