薬剤師の給料が安いのはなぜ?年収を上げるためにできる6つのこと

薬剤師の給料が安いのはなぜ?年収を上げるためにできる6つのこと

 

「薬剤師って大変な割に、なぜ給料が安いんだろう・・・。年収を上げる方法ってあるのかな?」

 

薬剤師はミスが許されないことに加えてスピードも求められる、大変な仕事ですよね。

「薬剤師として働いているけど、仕事の責任や忙しさの割に給料が安くて辛い。」このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は『薬剤師の年収は安いのか、年収を上げる方法はあるのか』についてお話していきます。

年収を上げる具体的な方法も取り上げているので、ぜひ参考にしてみてください!

 

6年制大卒の割には薬剤師の給料・年収は安すぎる!

薬剤師の給料が安いのはなぜ?年収を上げるためにできる6つのこと

 

結論からいうと、6年制大卒の割には薬剤師の給料・年収は安すぎます。

ここからは、薬剤師と他の職業の給料・年収について以下の内容をお話します。

 

  • 同じ6年制大卒の医師と年収の差が大きすぎる
  • 大卒・院生卒と給料を比較しても薬剤師はやや低く感じる

 

まずは、薬剤師が他の職業と比べてどの程度の給料・年収をもらっているかを知ることが大切です。

という事で、詳しく見ていきましょう!

 

同じ6年制大卒の医師と年収の差が大きすぎる

 

同じように6年制大学を卒業した国家資格である「医師」と比べ、薬剤師の年収は大きく見劣りします。

2022年に発表された賃金構造基本統計調査によると、薬剤師と医師の平均年収は以下の通りでした。

 

  • 薬剤師の平均年収:582万5075円
  • 医師の平均年収:1523万6775円

 

医師と薬剤師の年収差は約2.6倍にもなることが分かります。

もちろん医師と薬剤師では仕事の範囲・責任が大きく異なりますが、どちらも6年制大学を卒業した医療従事者であることに変わりありません。

 

また、4年制から6年制になったことで薬剤師の年収がどう変化したか気になる方がいるかもしれません。

そこで、薬学部が4年制だった2012年の賃金構造基本統計調査をご紹介します。

 

  • 薬剤師の平均年収:530万2000円
  • 医師の平均年収:1264万8100円

 

2012年当時の医師と薬剤師の年収差は約2.3倍です。

この11年で薬剤師の平均年収は上がりましたが、2023年現在の年収差は2.6倍。

 

実は医師と薬剤師の年収の差は広がっているんです。

よって、同じ6年制大学になっても、引き続き医師と薬剤師の年収には大きな差があるといえるでしょう。

 

大卒・院生卒と給料を比較しても薬剤師はやや低く感じる

 

薬剤師を「大卒者」という枠で考えた場合も、大卒・院生卒と比較した給料はやや見劣りします。

令和4年賃金構造基本統計調査より、大卒者・大学院卒業者・薬剤師それぞれの平均年収を計算すると、以下のようになります。

 

  • 薬剤師平均年収:582万5075円
  • 大卒平均年収:595万8475円
  • 大学院卒平均年収:760万085円

 

薬剤師と大卒者全体の年収は、ほとんど差がありません。

また、新卒年齢が薬剤師と同じ院卒者の平均年収を比べると、薬剤師は200万ほど劣るのが分かります。

 

よって、大卒・大学院卒の平均年収を見ると、高い学費を支払って6年間学んだ薬剤師の平均年収582万5075円は、やはり低いといえるでしょう。

 

なぜ薬剤師の給料は安くなりがちなのか?

薬剤師の給料が安いのはなぜ?年収を上げるためにできる6つのこと

 

薬剤師の給料が安くなりがちな理由は、以下の通りです。

 

  • 管理職ポストが少なく昇給・昇格しづらいから
  • 薬剤師として経験を積むために給料が低くても就職する人が多いから
  • 病院勤務薬剤師の場合は病院が非営利目的であるから

 

給料が安い理由を正しく理解できると、どうやって年収を上げていくかを考えやすくなります。

という事で、それぞれについて詳しくお話していきます!

 

管理職ポストが少なく昇給・昇格しづらいから

 

今の職場に管理薬剤師や薬局長などの管理職ポストが少ない場合、昇格による昇給(給料アップ)は見込みづらいです。

特に病院は、調剤薬局やドラッグストアに比べて管理職ポストが少ない傾向があります。

 

なぜ管理職ポストの数の話をするかと言うと、2つの理由があるからです。

 

  • 薬剤師は昇給が少ない会社も多い
  • 管理職にならないと年収が頭打ちになりやすい

 

転職せずに給料を上げるには、役職手当のつく管理職につくか、実績をあげて人事査定で高評価をされる必要があります。

人事査定の方法は会社によって異なるため、基本的には管理職になるのが年収アップの近道。

 

年に5000円程度の定期昇給のみでは、大幅に年収を上げることは不可能です。

年収の頭打ちが気になる方は管理職ポストへの昇進を考え、状況によっては管理職ポストがある職場への転職をおすすめします。

 

薬剤師として経験を積むために給料が低くても就職する人が多いから

 

経験を積むことを重視して職場を選び、「給料が安い」と後悔する人もいます。

薬剤師は就職後も勉強が必要なため、給料が低くてもスキルアップできる職場を選ぶ傾向があります。

 

具体的には、以下のような職場です。

 

  • 研修が充実している職場
  • 専門薬剤師の資格を取りやすい職場

 

「薬剤師としてのスキルを身に着けるためには仕方がない」という考えですね。

具体的には研修の充実した大手調剤薬局チェーン、最新の医療知識を学べる病院などが挙げられます。

 

ここで、がん薬物療法の高度な知識や資格が得られることで人気の、国立がん研究センターのレジデントの給料をご紹介します。

 

  • 給与:1年目 243,600円 2年目 253,700円 3年目 263,700円 
  • 賞与:月給1ヵ月分/年間

(データ出典:国立がんセンター2024年薬剤師レジデント募集要項

 

年収にすると316万〜342万円ほど。

薬剤師の平均年収を大きく下回ります。

 

若いうちにスキルを身につけないとあとで困るので、「若いうちは経験重視」は悪い考え方ではありません。

しかし貴重な経験が積める職場は仕事がハードになりがちなので、給料と経験、仕事の大変さのバランスに悩む方がいるのも事実です。

 

病院勤務薬剤師の場合は病院が非営利目的であるから

 

医療法第7条により営利目的での病院開設は禁止されているため、病院は一般企業のように利益を追求し、従業員に還元することができません。

利益が出ていない組織が、従業員の給料を大きく上げることは難しいですよね。

 

2022年に日本病院協会が行った調査によると医業利益が赤字の病院は全体の74.4%でした。

非常に経営が厳しい病院が多く、薬剤師の給料を大きく上げるのは難しい現実が分かります。

 

よって、非営利目的で開設される病院は利益の追求が難しいため、病院薬剤師は特に給料が上がりづらいのです。

 

薬剤師が今よりも給料・年収を上げるためにできること

薬剤師の給料が安いのはなぜ?年収を上げるためにできる6つのこと

 

今のまま勤務し続けても大幅な年収アップが難しい方は、以下の方法を試してみましょう。

 

  • 認定薬剤師など新たな資格を取得する
  • かかりつけ薬剤師・在宅医療対応など薬剤師としてスキルUPする
  • 副業をはじめて収入の柱を増やす
  • 管理職ポジションが空いている病院や企業に転職する
  • ドラッグストアや製薬会社等平均年収が高い職種に転職する
  • 年収交渉が可能な薬剤師特化型の転職サイトを利用する

 

年収を上げるには、いくつかのコツや方法があります。

というわけで、1つずつ見ていきましょう!

 

認定薬剤師など新たな資格を取得する

 

認定薬剤師・専門薬剤師などの資格を取得すると、給料が上がりやすくなります。

専門薬剤師や認定薬剤師は努力しないと得られない資格なので、スキルアップに前向きであることや、スキルや実績の具体的なアピールになるからです。

 

具体的には、以下のような資格の取得がおすすめです。

 

資格名 認定元
研修認定薬剤師 日本薬剤師研修センター
日病薬病院薬学認定薬剤師 日本病院薬剤師会
認定実務実習指導薬剤師 日本薬剤師研修センター
がん薬物療法認定薬剤師

がん薬物療法専門薬剤師

日本病院薬剤師会
地域薬学ケア専門薬剤師 日本医療薬学会
緩和薬物療法認定薬剤師

緩和医療専門薬剤師

日本緩和医療薬学会
スポーツファーマシスト 日本アンチ・ドーピング機構
NR・サプリメントアドバイザー 日本臨床栄養協会

 

今の職場や自分が進みたいキャリアによって、必要な資格や取りやすい資格は異なります。

興味のある分野の専門資格があるなら、積極的に取得を目指しましょう。

 

また、勤務先が独自に設定している認定資格を取得するのもよい方法です。

例えば、以下の調剤薬局では社内独自の認定資格を設定し、取得を推奨しています。

 

  • 総合メディカル:分野別専門薬剤師
  • 日本調剤  :疾患別社内認定

 

人事査定の評価だけでなく転職時のアピールでも、資格取得は非常に効果的。

他の薬剤師との大きな差別化につながります。

 

可能な限り、認定・専門資格の取得にどんどんチャレンジしていきましょう。

 

かかりつけ薬剤師・在宅医療対応など薬剤師としてスキルUPする

 

かかりつけ薬剤師・在宅医療などの経験があると薬剤師として大きな強みになり、年収を上げやすくなります。

これは特に、調剤薬局で年収を上げていきたい方におすすめの方法です。

 

かかりつけ薬剤師は患者さんの薬に関する相談に24時間体制で対応する必要があり、精神的負担を強いられます。

中には「電話対応を考えると、休みの日も気が抜けないのが嫌」と、取得をためらう方も珍しくありません。

 

しかし、調剤報酬の点数が高い在宅やかかりつけ薬剤師の経験者は医療機関からすれば非常に欲しい人材です。

薬剤師としての人材価値を引き上げれば、おのずと提示される年収も上がるもの。

 

年収を上げたい方は、かかりつけ薬剤師や在宅医療など、医療機関が欲しがる経験・スキルの取得を検討してみましょう。

 

副業をはじめて収入の柱を増やす

 

近年は副業をする薬剤師が増えており、収入の柱を複数持つ人が増えています。

薬剤師にできる副業は、以下のようなものがあります。

 

  • 単発・短期間の派遣薬剤師
  • 医療論文や添付文書の翻訳
  • Web上の記事を作成するWebライター
  • 薬剤師国家試験・理系学生の家庭教師

 

管理薬剤師や公務員は法律により副業が禁止されているため、注意が必要です。

また、就労規則により従業員の副業を禁止している医療機関もあります。

 

会社に隠して副業を始めても、税金の関係で職場にバレてしまうことが多いです。

トラブルを防ぐため、勤務先が副業を認めているかは必ず事前に確認しましょう。

 

管理職ポジションが空いている病院や企業に転職する

 

現職での昇進・昇給が難しい場合、管理職ポジションが空いている病院や企業に転職することで大幅な年収UPが可能です。

管理職ポジションでの転職は、以下の2パターンがあります。

 

  • 現職者の退職による募集
  • 業務拡大でポジションが増えた事による募集

 

特に調剤薬局やドラッグストアは新店舗オープンのために、管理薬剤師を募集するケースがよく見られます。

自分よりも年長者が多く管理職昇進が見込めない、今の昇給・昇進ペースでは目標年収に届かない方などは、管理職の転職求人をチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

ドラッグストアや製薬会社等平均年収が高い職種に転職する

 

現職にとどまっても給料が上がらないと判断した場合、平均年収が高い職種への転職を検討しましょう。

ここで、薬剤師の業種別平均年収をご紹介します。

 

病院薬剤師 521.7万円 (401.4~542.2万円)
調剤薬局 428.7~596.3万円
ドラッグストア 446.5~594.3万円
製薬会社 431.1~664.4万円

                          (データ引用:マイナビ薬剤師

ドラッグストアは生活が不規則、仕事の幅が広いなどの理由から高年収で募集が出されるケースがよく見られます。

また、製薬会社で働く薬剤師はMRが多く、営業職としての高いスキルが求められるため平均年収が高めとなっています。

 

しかし、高年収を得るには高いスキルが必要、ノルマがある、生活が不規則になりやすいなどの悪条件がつきものです。

年収だけでなく、勤務条件や仕事内容をよく確認してから転職先を検討しましょう。

 

年収交渉が可能な薬剤師特化型の転職サイトを利用する

 

年収交渉が可能な薬剤師特化型の転職サイトを利用すると、転職時に大きな年収アップが期待できます。

まず、転職サイトには広い職種を取り扱う「総合型転職サイト」と、特定の職種に特化した「特化型転職サイト」に分類されます。

 

資格職である薬剤師は、景気に左右される一般企業とは転職状況が異なるため、総合型の転職サイトでは十分なサポートを受けられません。

一方、薬剤特化型の転職サイトなら、薬剤師のキャリアや転職状況に精通しているエージェントが在籍し、きめ細かなサポートが可能です。

 

年収交渉も転職希望者のスキルやキャリアに応じて、積極的に行っています。

ここで、年収交渉が可能で多くの薬剤師に選ばれている、おすすめの転職サイトを3つご紹介します。

 

  • 薬キャリ
  • マイナビ薬剤師
  • ヤクマッチ

 

どの転職サイトも薬剤師は無料で利用でき、実績はバツグン。

転職するかを迷っている場合は、キャリア相談からの受付も可能です。

 

今の職場にとどまるべきか、転職したほうがよいか迷っている場合はひとまず相談だけしてみるのもおすすめ。

プロの視点から客観的な視点で薬剤師の市場価値を判断してもらえます。

 

転職により年収UPを狙いたい方は、ぜひ薬剤師特化型転職サイトを利用しましょう。

 

まとめ

薬剤師の給料が安いのはなぜ?年収を上げるためにできる6つのこと

 

今回は『薬剤師の年収は安いのか、年収を上げる方法はあるのか』についてお話ししました。

薬剤師の年収は同じ6年制卒の医師と比べて大きく見劣りし、4年制を含む一般の大卒者と比べても十分な金額とは言えません。

 

薬剤師の給料が安くなりがちな理由は、以下をご紹介しました。

 

  • 管理職ポストが少なく昇給・昇格しづらいから
  • 薬剤師として経験を積むために給料が低くても就職する人が多いから
  • 病院勤務薬剤師の場合は病院が非営利目的であるから

 

上記の理由をしっかり把握し、どうすれば自分の年収を上げられるのか分析してみましょう。

また、薬剤師が今よりも給料・年収を上げるには、以下の方法があります。

 

  • 認定薬剤師など新たな資格を取得する
  • かかりつけ薬剤師・在宅医療対応など薬剤師としてスキルUPする
  • 副業をはじめて収入の柱を増やす
  • 管理職ポジションが空いている病院や企業に転職する
  • ドラッグストアや製薬会社等平均年収が高い職種に転職する
  • 年収交渉が可能な薬剤師特化型の転職サイトを利用する

 

どの方法が合うかは人によって異なるため、資格の取得+副業のように複数の方法を併用する方もいます。

今の職場にとどまっても大幅な年収UPを見込めない方は、ぜひ今回ご紹介した方法を試してみてください!