第21回 薬局の課題に関する調査⑤

2019/02/28

皆様、【Oncology MR Training Project】主宰の高橋洋明です。
 
今回も本コラムをご覧くださり、ありがとうございます。
今回も、現在の薬局の課題に関する話題を皆様と一緒に見てまいります。
今回ご紹介するデータも、ネグジット総研様の調査結果です。貴重な薬局の生の声を調査されましたので、前回に引き続きそのデータをご紹介いたします。

確認として、今回ご紹介する調査の概要をお知らせいたします。

 
  

 では、アンケートの質問7を見ていきましょう。質問7は「貴施設で、患者のための薬局ビジョンで示された『健康サポート機能』『服薬情報の一元的・継続的把握』『24時間対応・在宅対応』『医療機関等との連携』『高度薬学管理機能』に関して、課題に感じていることを自由にご記入ください。」でした。これもまさに薬局経営に直接関わる質問ですね。
 ここで得られた回答を、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4資源に分類してご紹介します。

 


 この質問に対して、100名中27名の方が「24時間対応ができない、現実的ではない、スタッフがいない」という旨のコメントをくださっています。
 従来から言われていたことですが、薬局の24時間対応は、複数の人員を擁するある程度の規模の薬局でなければ、現実的な運営は非常に難しいです。

 コメントの中には、「24時間対応は本当に患者のためになるのか?」との疑問を呈するものもありました。
 現実には医師も24時間対応していなければ疑義照会もできず、受診勧奨しても受診は翌日になります。
 患者さんが夜中に何か具合が悪化したら緊急を要しますが、結局対応が後手になってしまうのでは24時間対応の意味が薄れてしまいます。

 また、処方箋元が単科の医療機関の場合、そこの門前薬局は健康サポート薬局として求められる機能と現実に提供する医療サービスに乖離が生じます。全ての診療科に対応する必要がない薬局までが健康サポート薬局を目指すのは、コストや資源等の面でも現実的ではありません。

 さらには、モール内薬局のように施設そのものが開店時間・閉店時間を定めているため、薬剤師が独自の判断で薬局内に出入りできないという指摘もありました。

 したがって、平日の時間外や休日の地域医療をどのようにデザインすることが望ましいのかを、地域ごとに、医師・薬剤師・看護師・行政等が考える必要が浮き彫りになったと言えるでしょう。 


 アンケートの回答数は少ないのですが(100件中3件)、薬局の施設・設備に関して健康サポート薬局となるためにハードルが高いという指摘がありました。

具体的には、薬局のスペースの問題です。OTC医薬品を置きたくてもそのスペースがない、品揃えが難しい、健康相談の場所が確保できないなど、簡単には解決できないことがあると指摘されていました。

これらは薬剤師の立場から見れば「今さら薬局を拡張するのは無理」ということですから、健康サポート薬局を目指さない薬局が出てきている理由の一つでもあります。



 こちらも件数が少ないのですが、
・健康サポート薬局を目指す取り組みに対し点数が設定されていないこと(100件中3件)
・OTC医薬品が医療用医薬品よりも高すぎて売れない(100件中1件)
・薬局近隣にある大型ドラッグストアにOTC販売では負ける(100件中1件)
というコメントがありました。

件数は少ないものの、健康サポート薬局を目指すには資金が必要なので、そのための資金繰りをどのようにすることが望ましいのかも議論が必要でしょう。

厚生労働省が旗を振っても、薬局側が「ない袖は触れない」ということでは健康サポート薬局の実現は一部の限定的なものになってしまいます。
ここは厚生労働省にも再度熟考いただきたいところですね。




 100件中10件が、情報がスムーズに伝わらないことを指摘していました。
具体的には
  • 患者さん情報について医療機関との連携が乏しい
  • 電子お薬手帳等の普及が不十分
  • 電子お薬手帳がすでに複数のシステムから導入されて稼働しているため、統合が難しい
  • 医療機関が意識していないと連携は無理
  • 医師は本当に緊急性があるかきちんと評価してから依頼してほしい
  • 服薬情報の一元化が必須、病院でのケモ等お薬手帳だけではわからないことが多い
などのコメントがありました。

いずれも現場で起こっていることを解決しなければ健康サポート薬局は増えていかないことを示唆するものです。



上記以外には
  • 会社や同僚が健康サポート薬局への意識が低く、自分だけでは変わらない
  • 患者さんから選んでもらえるのか不安
  • 言いたいことはわからなくもないが、理想を掲げすぎで、現実を知らない人の意見としか思えない
などのコメントもありました。

健康サポート薬局のコンセプトは、今後の2025年問題への対応として重要であることは理解できますが、
  • 全ての薬局が健康サポート薬局を目指す必要があるのか?
  • 健康サポート薬局を目指さなくても診療報酬上・調剤報酬上不利益にならないような配慮は不要なのか?
  • 健康サポート薬局に対する地域の住民の理解獲得をいかにして促進するのか?
など、まだまだ検討すべきこと、やるべきことがたくさんあります。

 このような状況に、製薬企業がどのようにサポートできるのかを、その地域の医療者と膝を付き合わせて腹を割って話し合うことも、地域医療に対する製薬企業の貢献の一つかもしれません。
 地域の医療者が考える課題は、必ずしも全国共通とは限りません。その地域だからこそ生じている課題もあります。
 そこに、地域密着の営業活動を展開しているMRの機動力と情報をフル活用することは、エリアマーケティングの実践の第一歩といえるでしょう。

 次回以降も引き続き、このネグジット総研様のアンケート調査から、製薬企業様に直接関わりがある医薬品についてより深くみてまいります。



 

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