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第22回 薬局の課題に関する調査⑥
2019/02/27

皆様、【Oncology MR Training Project】主宰の高橋洋明です。
今回も本コラムをご覧くださり、ありがとうございます。
今回も、現在の薬局の課題に関する話題を皆様と一緒に見てまいります。
今回ご紹介するデータも、ネグジット総研様の調査結果です。貴重な薬局の生の声を調査されましたので、前回に引き続きそのデータをご紹介いたします。
◆ (再掲)今回の調査について
今回ご紹介するデータも、ネグジット総研様の調査結果です。貴重な薬局の生の声を調査されましたので、前回に引き続きそのデータをご紹介いたします。
◆ (再掲)今回の調査について
確認として、今回ご紹介する調査の概要をお知らせいたします。

◆ 薬局での医薬品の備蓄状況について
このアンケートの質問8では、「2018年6月以降、貴店舗の備蓄医薬品で備蓄中止・変更になったケースを教えてください。」を尋ねました。回答は下記の通りでした。回答は複数回答可としております。
*AG:オーソライズド・ジェネリック(以下、AG)
No. | カテゴリ | 実数 | % |
1 | 他の後発医薬品があるため備蓄中止(同成分の2品目を1品目になど) | 34 | 20.7 |
2 | 対象患者がいないため備蓄中止 | 74 | 45.1 |
3 | 先発医薬品(長期収載品)に統一のため備蓄中止 | 7 | 4.0 |
4 | AGに備蓄変更 | 17 | 10.0 |
5 | 「AG以外の後発医薬品」に備蓄変更 | 26 | 15.8 |
6 | その他(具体的に) | 6 | 3.4 |
サンプル数(% ベース) | 100 | - |
◆ 薬局で備蓄している医薬品の採用中止状況について
このアンケートの質問9では、「2018年6月以降、貴店舗の備蓄医薬品で採用中止の検討状況を教えてください。」を尋ねました。回答は下記の通りでした。回答は下記のカテゴリの中から1つだけ選択いただいております。
*後発医薬品を採用して先発医薬品の備蓄中止、他の後発医薬品に変更や整理等
*企画、剤形が異なるものは別品目として、おおよそでカウントいただく
<下記の表は、採用中止を決定した医薬品数>
◆ これらの結果から考えられることは?
この質問8と質問9を併せて見ていきますと、薬局で先発医薬品の備蓄中止が決まるのは主に下記の2つということが考えられます。
1. その医薬品の対象となる患者さんがいないため備蓄中止(削除)
2. 後発医薬品が登場したことで備蓄変更(先発医薬品から後発医薬品に切り替え)
では、この2つについて、更に深く分析してみましょう。
◆ その医薬品の対象となる患者さんがいないため備蓄中止(削除)に
ならないようにするためには?
このケースは、そもそもその製品が処方されていないために起こることです。すなわち、その製品のマーケティングやプロモーションがうまくできていないことから売れていないために起こることです。
この場合であれば、医師に対してMRがその医薬品の適格例を具体的に提示し、どのようにその医薬品を処方してもらえば良いのかを医師にきちんと理解いただき、その上でその薬品のポジショニングを確立させる必要があります。
その医薬品を処方する理由が明確でなければ、医師はその医薬品を処方することはありません。
これができていないためにその医薬品が処方されず、結果として薬局の棚から消え去ることになるのです。
◆ 後発医薬品が登場したことで備蓄変更(先発医薬品から後発医薬品に
切り替え)は、防ぐことが可能か?
このケースは、かなり厳しい状況です。後発医薬品の使用促進は日本の国策でもありますし、診療報酬上でも薬局への経済的インセンティブが明確にされています。MRと薬局薬剤師との義理と人情の世界は、すでに終わっています。
とは言え、備蓄している先発医薬品から後発医薬品への切り替えを全く検討していない薬局も9%ほどあるということも分かっています。
ですから、
などを調査・分析し、薬局向けの活動に展開できるかもしれません。
このアンケートの質問9では、「2018年6月以降、貴店舗の備蓄医薬品で採用中止の検討状況を教えてください。」を尋ねました。回答は下記の通りでした。回答は下記のカテゴリの中から1つだけ選択いただいております。
*後発医薬品を採用して先発医薬品の備蓄中止、他の後発医薬品に変更や整理等
*企画、剤形が異なるものは別品目として、おおよそでカウントいただく
<下記の表は、採用中止を決定した医薬品数>
No. | カテゴリ | 実数 | % |
1 | 全くなし | 9 | 9.0 |
2 | 1品目 | 17 | 17.0 |
3 | 2品目 | 16 | 16.0 |
4 | 3~5品目 | 33 | 33.0 |
5 | 6~10品目 | 10 | 10.0 |
6 | 11品目以上 | 15 | 15.0 |
7 | その他 | 0 | 0.0 |
サンプル数(% ベース) | 100 | 100 |
◆ これらの結果から考えられることは?
この質問8と質問9を併せて見ていきますと、薬局で先発医薬品の備蓄中止が決まるのは主に下記の2つということが考えられます。
1. その医薬品の対象となる患者さんがいないため備蓄中止(削除)
2. 後発医薬品が登場したことで備蓄変更(先発医薬品から後発医薬品に切り替え)
では、この2つについて、更に深く分析してみましょう。
◆ その医薬品の対象となる患者さんがいないため備蓄中止(削除)に
ならないようにするためには?
このケースは、そもそもその製品が処方されていないために起こることです。すなわち、その製品のマーケティングやプロモーションがうまくできていないことから売れていないために起こることです。
この場合であれば、医師に対してMRがその医薬品の適格例を具体的に提示し、どのようにその医薬品を処方してもらえば良いのかを医師にきちんと理解いただき、その上でその薬品のポジショニングを確立させる必要があります。
その医薬品を処方する理由が明確でなければ、医師はその医薬品を処方することはありません。
これができていないためにその医薬品が処方されず、結果として薬局の棚から消え去ることになるのです。
◆ 後発医薬品が登場したことで備蓄変更(先発医薬品から後発医薬品に
切り替え)は、防ぐことが可能か?
このケースは、かなり厳しい状況です。後発医薬品の使用促進は日本の国策でもありますし、診療報酬上でも薬局への経済的インセンティブが明確にされています。MRと薬局薬剤師との義理と人情の世界は、すでに終わっています。
とは言え、備蓄している先発医薬品から後発医薬品への切り替えを全く検討していない薬局も9%ほどあるということも分かっています。
ですから、
・この薬局は、なぜ後発医薬品への切り替えを行わないのか?
・後発医薬品にどのような印象をお持ちなのか?
・それらの理由は、他の薬局には当てはまるか?
・後発医薬品にどのような印象をお持ちなのか?
・それらの理由は、他の薬局には当てはまるか?
などを調査・分析し、薬局向けの活動に展開できるかもしれません。
また、他にも注目すべきこととして、アンケート結果から
・後発医薬品を採用する際、オーソライズド・ジェネリックが必ずしも
それ以外の後発医薬品よりも有利とは言えない
・後発医薬品が初めて収載される際、薬局側は収載された複数の後発医薬品を
まとめて採用し、先発医薬品から切り替えていると思われる
それ以外の後発医薬品よりも有利とは言えない
・後発医薬品が初めて収載される際、薬局側は収載された複数の後発医薬品を
まとめて採用し、先発医薬品から切り替えていると思われる
ということが読み取れそうです。
この質問にはまだ続きがありますので、次回は引き続き薬局の採用中止状況を更に細かく分析し、ご紹介いたします。
この質問にはまだ続きがありますので、次回は引き続き薬局の採用中止状況を更に細かく分析し、ご紹介いたします。

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