第34回 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と薬局

2020/04/30



 第34回 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と薬局 
 
 皆様、【Oncology MR Training Project】主宰の高橋洋明です。
 今回も本コラムをご覧くださり、ありがとうございます。
 前回本コラムを執筆した後、COVID-19が日を追うごとにますます猛威を振るう状況と
なりました。
 4月25日現在、政府の緊急事態宣言を踏まえ、東京を中心とした首都圏において住民の
外出を制限し、感染拡大を阻止しようと全力を挙げています。
 しかしながら、現実にはCOVID-19の感染者数も増え続けています。
 首都圏の医療機関でCOVID-19の診療にあたっている医療従事者が疲弊しており、その上COVID-19に感染するなど、実に深刻な状況にあります。
 皆様もテレビの報道等でご存知でしょう。
 そこで今回の本コラムでは、2020年4月現在の薬局の状況を皆様と一緒に見ていきましょう。
 なお、前回のコラムの最後にお示しした「薬局での対面業務への取り組み」については、
別の機会にお伝えします。


 

◆COVID-19の感染拡大の経緯


 COVID-19は、2019年12月に中国湖北省武漢市で原因不明の肺炎が多発したことに端を
発しました(出典:新型コロナウイルス(COVID-19)感染症 - Novel coronavirus (COVID-19) disease - www.naika.or.jp › Novel-coronavirus-COVID-19-disease)。
 日本では、武漢市での滞在歴のある中国人男性がCOVID-19に初めて感染した患者さんと
して2020年1月16日に報告されました。
 その後、2月3日にCOVID-19感染者を含む約3,700人を乗せたクルーズ船ダイヤモンド・
プリンセス号が横浜に入港、乗客は乗船したまま検疫をうけたものの、感染者数は増えて
いきました。
 以降、感染者数の増加ペースは衰えておらず、状況は著名な改善が認められないまま、
今に至っています。




◆薬局における患者さんの変化

 この期間、薬局に来る患者さんの数にはどのような変化があったのでしょうか?
 薬局に来局する患者数の変化については、日本保険薬局協会(NPhA)が新型コロナウイルス感染症に関する会員企業の影響を調査したところ、
・薬局の8割が「3月に入り来局患者数は前期比減少」と回答したとのことでした
(出典:http://pnb.jiho.jp/tabid/68/pdid/25292/Default.aspx)。
 また、私のつてからは、
・COVID-19の影響で、特に小児科・皮膚科・整形外科の患者さんの来局が大幅に減って
 いる
 との話も伺っています。
 これは、小児科・皮膚科・整形外科の処方元であるクリニック等が、患者さんの受診を
予約制に変更するなどのCOVID-19の感染予防対策を実施していることによるもののよう
です。
 もちろん、患者さんやご家族がCOVID-19に感染しないように注意しているということも
大いに関係がありそうです。
 調査対象となるクリニックや薬局の特性(立地・主治医の治療方針・患者さんの年代や性
差等)もありますが、薬局全体としては2020年3月では対前年比で約10%程度処方箋枚数
が減っているという調査もあります。
 その他、非公表のデータですが、複数の診療科で20%~40%程度、患者さんの受診が
減り、処方箋の発行枚数もそれに伴い減っているとの話も聞き及んでいます。


◆処方箋の内容にも変化はあるか?

 前述の通り、処方箋の発行枚数は2020年3月以降減っているとの話がありますが、その分、
生活習慣病治療薬などは、長期処方化していることも報じられています
(出典:新型コロナ 3月の処方せん枚数10%減 処方日数は増加傾向 JMIRI調べ https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=69110&fbclid=IwAR2F9XotPzOFAXMDhz81DG5rAc10E2Xo7IhB164DiMW05UzgWjuyn4SMqRI)。
 これも医療機関への受診行動を減らしたいという厚生労働省、患者さんやご家族、そして
主治医の意図からなされているようです。
 このような動きの結果、一部のクリニックの経営が急速に悪化しています。
具体的には、現在の受診行動の変化は
 ・患者さんの再診料が入ってこなくなる
ということですから、1ヶ月で数十万円から百数十万円程度、規模が大きいクリニックなら
それ以上の収入減になります。
 これはクリニックの経営上、見過ごせない状況です。

 そして、これに伴い薬局に来る患者さんやご家族も減り、処方箋枚数も減るという事態です。
 一方では、急性期医療が必要な患者さんや、どうにも我慢できない痛みの治療や緩和などで
どうしても受診したい患者さんもおられますし、そのような治療のためにも治療薬が処方され
ます。

 このように、医療者や患者さんの事情を改めて見てまいりますと、地域差や変化の差がある
ようですから、製薬企業としては地域ごとに市場や薬局がどのように変化しているのかを現場
の最前線のMRがしっかり把握しておく必要があるでしょう。

 そしてその上で、薬局が地域に提供できるものを考え、提案してみることが、COVID-19
沈静化以降の自社製品の売上アップに繋がるかもしれません。

 今現在薬局が地域に提供できることは、通常の薬局業務に加え、
・COVID-19の感染拡大のための正しい情報を地域の住民に提供し続けること
 が考えられます。
 感染対策のための物品は、供給が需要にまだ追いついていない状況ですし、テレビ等の
情報番組が報じるCOVID-19関連の情報にも客観性や科学的根拠が疑わしい情報も玉石混交
のようです。
 そして、それらの情報に住民が振り回されている状況もスーパーやドラッグストアなど
でも散見されます。

 地域の安心安全を守る役割を担う薬局が、地域の住民に正しい情報を届けることは地域
に対する薬局の貢献です。
 そこに製薬企業も一緒に取り組むことができれば、地域の薬剤師会や医師会からの評価も
高まり、その後の医療者との連携もどんどんスムーズになっていくかもしれませんね。
 

 

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