第20回 薬局の課題に関する調査④

2018/12/28

 
皆様、【Oncology MR Training Project】主宰の高橋洋明です。
 
今回も本コラムをご覧くださり、ありがとうございます。
今回も、現在の薬局の課題に関する話題を皆様と一緒に見てまいります。
今回ご紹介するデータも、ネグジット総研様の調査結果です。貴重な薬局の生の声を調査されましたので、前回に引き続きそのデータをご紹介いたします。

確認として、今回ご紹介する調査の概要をお知らせいたします。

 
  

 は、アンケートの質問5を見ていきましょう。質問5は「貴施設に対して、会社から重点的な取組の指示がある算定項目は何でしょうか?」でした。これもまさに薬局経営に直接関わる質問ですね。この質問に対して、下記のような回答が得られました。

 このアンケートへの薬局側の回答も、薬局の経営状況を改善するために即効性がある項目ほど指示されていることが明らかになりました。

 具体的には、
  • 「後発医薬品調剤体制加算」の上位要件クリア(後発医薬品の数量割合の増加)
  • かかりつけ薬剤師指導料等
  • 重複投薬・相互作用等防止加算等
の3項目は、3割以上の薬局で会社から指示を受けているということですね。



 「後発医薬品調剤体制加算」の上位要件をクリアするためには、その薬局での採用品目のうち、後発医薬品がある先発医薬品を後発医薬品に切り替えれば済む話ですので、薬局としても簡単に着手できる活動です。

 重複投薬・相互作用等防止加算等を取得するためには、これまで以上に処方元の医師に対して薬剤師の職能を発揮すれば良いことですし、現在病院と保険薬局の連携が進んでいる所も増えてきていますので、難易度はさほど高くありません。

 逆に、先発医薬品を多数持つ製薬企業から見れば、特に経口薬において後発医薬品への切り替えが進むことになり、自社の業績への影響が出ることが懸念されます。後発医薬品の追補によって先発医薬品の売上が急速に落ち込むことを何度も見聞きしてこられた皆様から見れば、この状況が進むことは非常に大きな脅威でしょう。

 しかし、後発医薬品の市場浸透は国策です。保険薬局も、調剤報酬改定のたびに薬局の加算の見直しが進むことで保険薬局の収益構造も経営が一層悪化しているため、保険薬局も生き残りをかけて必死です。

 従って、簡単にこの状況を変えることは難しいと考えられます。
新薬開発型の先発医薬品製薬企業は、画期的な新薬の効率的な開発と上市が求められます。
それ以外の先発医薬品を扱う製薬企業は、コ・プロモーションなどビジネスモデルそのものの検討が必要になっています。

画期的な新薬は数に限りがありますので、どうしてもコ・プロモーションにならざるを得ないのですが、コ・プロモーションは大成功した医薬品自体もそれほど多くはありません。
その多くの原因は、両社間の契約内容や、販促資材のレギュレーションの微妙な違い、プロダクト・マネージャー同士の不仲などによります。
ですから、どこの製薬企業とコ・プロモーションするのか?その時の契約条件はどうするか?など、多くの点で吟味が必要です。



 逆に、保険薬局側として対応に苦慮しているのが「かかりつけ薬剤師指導料」の算定です。
特に、患者さんからの同意取得がうまくいかない保険薬局が多いです。患者さんが多い保険薬局では、すでに事実上かかりつけ薬剤師として機能している患者さんも多く、「今更かかりつけ薬剤師指導料を算定しにくい」という声がたくさんあります。そのような薬局では、患者さんとの関係を踏まえながら、あえてかかりつけ薬剤師指導料を算定しない判断をする薬剤師もたくさんいます。
 一方、大手チェーン薬局では収益向上を目的として、このかかりつけ薬剤師指導料をなんとしても算定するよう店舗の薬剤師に指示を出しています。往々にしてこのような薬局では、「かかりつけ薬剤師の同意を患者さんから得られていない」という話もたくさん聞きます。



私が何人もの知人の医師から聞くのが、重複投薬・相互作用等防止加算の評判です。これは実に好評です。

またこの取り組みによって、筆者自身も一部の医師から
  • 保険で査定されかねなかった重複投薬が、薬剤師からの助言で回避できた
  • あちこちの医療機関を受診している患者さんの薬剤を1箇所の薬局が全て面倒見てくれるので、医師自身が知らなかった他に服薬している薬剤についても知ることができ、自分の処方を見直すきっかけになることもある
  • 患者さんが外来では話せなかったことも、薬剤師からの情報共有で知り得ることができた。そのことで残薬の量を踏まえて薬剤の処方量を調節することができた

などという声を聞くこともあります。

 
外来の場合、医師は患者さんと外来でしか話すことがありません。患者さんも限られた外来での診察時間の中で、医師に遠慮したり言い忘れたりして、全てのことをきちんと医師に話せるとは限りません。
 医師から見ても、患者さんの日常生活が見えないと医薬品を処方する際、不安を感じながら処方しています。
 その患者さんと医師の不安を、薬剤師が保険薬局内で知り得た患者さんの情報を医師と共有することで、医師も患者さんにとって最適な薬物療法を検討・提供することが可能となります。
製薬企業としては、このような場面に存在価値を発揮するチャンスがありそうですね。具体的に処方元と保険薬局が一堂に会する勉強会を定期的に企画運営している製薬企業もあります。このような活動は、もちろん医師・薬剤師からも非常に高く評価されています。

 次回以降も引き続き、このネグジット総研様のアンケート調査から、製薬企業様に直接関わりがある医薬品についてより深くみてまいります。


 

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