第17回 薬局の課題に関する調査

2018/09/28

 
皆様、【Oncology MR Training Project】主宰の高橋洋明です。
今回も本コラムをご覧くださり、ありがとうございます。

 
今回は、現在の薬局の課題に関する話題を皆様と一緒に見てまいります。
薬局、特に保険薬局は医薬品の購入者であることから、製薬企業の皆様にとって非常に大切な顧客の一人ですね。ですから、顧客の現状の課題を知らずして、薬剤師から好評を得るMR活動はなし得ませんよね。
今回、ネグジット総研様が貴重な薬局の生の声を調査されましたので、そのデータをご紹介いたします。

 

はじめに、今回ご紹介する調査の概要をお知らせいたします。
調査名:「薬局の課題に関する調査」
サンプル数:薬局に勤務する管理薬剤師100名
調査期間:2018年7月21日~23日
調査方法:WEBアンケート
調査実施機関:(株)ネグジット総研 薬剤師調査MMPR

 
  
 では、アンケートの質問1から見ていきましょう。
質問1は「貴施設について、健康サポート薬局の準備状況を教えてください。」でした。


この質問に対する回答は、下記の通りでした。

 


 健康サポート薬局は、平成30年5月31日時点の厚生労働省の報告  (https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/180531_1.pdf)によれば、全国に963薬局あります。
 最多は大阪府の107薬局、次に東京都が91薬局、以下神奈川県が56薬局、北海道が50薬局と続きます。
 上記の表の中で、No.1「既に、届出している」、No.2「2018年末迄を目標に、届出に向けて準備中」、No.3「時期は未定だが、届出に向けて準備中」の3項目を合わせると48%に達します。このような意向を持つ薬局には、製薬企業として様々な支援が可能ですね。
その支援のお話の前に、そもそも健康サポート薬局とは?という点を再度確認してみましょう。
 

皆様ご存知の通り、日本の財政は逼迫してきています。平成30年度の日本の予算は約97兆7千億円、そのうち社会保障関係費は約33兆円を占めています。これは高齢者の増加に伴って年金・医療・介護の費用も年々増大しているためです。一方、日本の人口動態は急激に人口減少することが試算されています。日本全体が高齢化し、労働人口が減少していくことが予測されており、日本の税収が早晩悪化することも推察されています。


これらの予測が背景にあったため、財務省は平成27年4月の財政制度等審議会にて医療費、特に薬局での調剤料・調剤技術料がどれくらい医療の質の向上に寄与しているか?を指摘しました。その席上、厚生労働省側から薬局の調剤料や調剤技術料の価値を具体的に示せるデータが、何も提示できませんでした。そのことから、平成27年の骨太の方針に薬局の役割・機能・適正化・評価などが盛り込まれました。

それを受けて、厚生労働省が平成27年10月23日に公表したのが「患者のための薬局ビジョン」~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~でした。そこに初めて健康サポート薬局が登場しました。

厚生労働省によれば、健康サポート薬局はかかりつけ薬局としての機能を備えた上で、国民の病気の予防や健康サポートに貢献する役割を持つ薬局として定義されています。

満たさなければならない機能は、かかりつけ薬局の基本機能の
・服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導
・24時間対応、在宅対応
・かかりつけ医をはじめとした関係期間との連携強化
の他、下記の健康サポート機能があります。
・地域における連携体制の構築(必要に応じたかかりつけ医等への紹介など)
・薬剤師の資質確保(一定の研修を修了した薬剤師の常駐など)
・健康サポート薬局としての薬局の設備(患者さんのプライバシーに配慮した相談スペースへのパーテーションの設置)
・健康サポート薬局であることの掲示
・要指導医薬品等や衛生材料、介護用品等の取扱い
・週末の開局
・健康相談・健康サポートの取り組み、薬局からの情報発信

これらは全て、きちんと取り組めることが求められています。
ですが現実には薬局の人的・設備的資源との兼ね合いから、ハードルが高い要件もあります。それらは今回のネグジット総研様のアンケートにあるNo.5「健康サポート薬局の基準を意識した対応はしない」、No.6「全く未検討」の合計30%の薬局の反応ともいえるでしょう。

逆に、これらの要件を満たして健康サポート薬局になることを目指している薬局は、今後患者さんや地域住民への情報提供を積極的に行っていく必要が出てきます。例えば、健康サポート薬局には「月1回の健康に関する勉強会の開催とその内容・結果の取りまとめと管理」が求められています。
そのような際、製薬企業が薬局への支援の一環として、情報提供時に患者さん向けに冊子を配布するなどは、薬局にも患者さんや地域住民にも喜ばれますね。




もともと健康サポート薬局を届け出ている、もしくは届出の準備を進めている薬局は、その地域に密着し、長く薬局を営むことを目指しているとも考えられます。ですから、そのような薬局にMR活動を集中させ、地域医療の様々な情報収集や薬局の満足度を高める活動は、エリアマネジメントの根幹とも言える活動とも言えるでしょう。

MR活動においては、病院や診療所への訪問が優先されがちです。しかし、薬局も様々な有益な情報を持っていますし、薬局が味方についてくれることはMR活動を楽にしてくれます。
この機に、顧客の薬局が今後どのようなことをしたいのか、そのために製薬企業は何ができるのかを今一度お考えになり、実際に薬局で今後の薬局について話し合ってみることをお勧めします。

今回の薬局の課題に関する調査は、大変興味深いデータがたくさんあります。次回もこれらのデータを見ながら、製薬企業の活動に活かせるポイントを検討してまいりますね。




 
 

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