第8回 薬局のスタッフ間のコミュニケーションが良い薬局は、経営が安定する

2017/11/01


 皆様、【Oncology MR Training Project】主宰の高橋洋明です。
今回も本コラムをご覧くださり、ありがとうございます。
 今回は前回に引き続き、調剤薬局でのコーチングについてお伝えします。前回、薬局において薬剤師が患者さん向けに行うコーチングは、患者さんのアドヒアランスの向上や残薬・ポリファーマシーの解消等に役立つことをお伝えいたしました。このコーチングを薬局内で活用したら、どのような効果が期待できるでしょうか?
 


   2人以上のスタッフがいる薬局の場合、何らかの役割分担をしている薬局がほとんどです。
   例えば、

 などの一連の作業を、スタッフの人数に応じて分担しています。
 患者さんからすれば、「処方箋を薬剤師に渡して、薬を受領し、会計をすませ、薬局を出るまで」をできる限り時間を短く済ませて早く帰宅したいと思うものですし、そのような患者さんが多いです。
 このような患者さんに対して、薬剤師ができることは、

 ことです。これらのことは、一言で言えば


 ことに他なりません。
 
 これは、リピーターの患者さんを増やし、薬局の経営の安定化にもつながる、大変重要なポイントです。このためのセミナーやコンサルティングも薬剤師の需要があり、これだけでビジネスになる程です。

 

このようなことができる薬局は、お互いの気心が知れたベテランの薬剤師たちが揃っていれば、時間をかけずに作ることができるかもしれません。
 ですが、実際には新人の薬剤師も入局してくることもあるでしょうし、パートで働く薬剤師と一緒に仕事をすることも十分あります。
 すなわち、薬局内でスムーズかつ患者さんの満足度が高い業務を実現しようとすれば、「人間関係の構築が不十分な薬剤師と仕事をする」ということがある限り、薬剤師間でコミュニケーションスキルを活用することや、コーチングが活きる場面は、沢山あるということです。



 
では、どのようにすれば、患者さんに気に入っていただける薬局を作ることができるのでしょうか?

 ここでも、コーチングが役立ちます。

 新人やパートの薬剤師に対して、そこの薬局で
「スムーズに仕事をするために必要なことは何か?」
を問い、各自にじっくり考えていただくというアプローチを取れば、彼らがその薬局での仕事の仕方を覚えたり、薬局経営者の経営方針を一層深く理解できるなどのメリットがあります。また、コーチ側も、コーチ側の意図を相手に伝えたり、相手の理解を促すことができます。

 このような取り組みによって、
・薬局内のコミュニケーションがスムーズに行われる
ようになります。その結果、お互いの意思疎通がスムーズになり、お互いの状況を察して常に先を見越したサポーティブな仕事の進め方ができます。

 患者さんの満足度を高める良い仕事をするためには、ただ仲が良いだけでは不十分で、スタッフ全員が患者さんのことを第一に考えた業務を遂行することが極めて重要です。
そのためには、コーチングを軸にした相手との関わり方をすることによって、患者さんが安心・安全を感じる信頼感に溢れた薬局作りができるようになります。

 「ミスなく調剤」できるためにも、コーチングが機能します。
 医療行為の中には、常にヒヤリハットのリスクが潜んでいるものです。日々の調剤業務の中で、このようなリスクとどのように向き合うのか?は、経験が少ない新人薬剤師ほど教育の必要があります。多くの場合、教える役割はベテラン薬剤師が担当しますが、その場面でもコーチングが役立ちます。
 よく知られていることですが、ヒヤリハットが発生した場合、重要なことは

などです。そのためには、ヒヤリハットを起こした人を叱責するだけでは全く不十分です。
ヒヤリハットが生じるプロセスが改善されていないからです。

 むしろ、ヒヤリハットを起こした薬局のスタッフ全員で、ヒヤリハット対策を全員で「自発的に、主体的に」取り組む方が、ヒヤリハットの再発防止に非常に役立ちます。「自発的に、主体的に」取り組めなければ、スタッフには「やらされ感」が残ってしまい、その状況のままではスタッフ自身が考えることがなくなったり、リーダーに依存してしまったり、指示待ちになってしまったり、薬局ないの雰囲気が悪くなってしまったり、新たな改善策が乏しくなってしまうなど、様々なデメリットが生じてしまいます。
 スタッフ自身が自発的に、主体的に取り組むということは、組織の活性化や業務改善に非常に大きな影響を及ぼします。そのような取り組みを引き出す関わり方がコーチングです。




 
コーチングを実践するためには、コーチ側が相手に「私とのコミュニケーションは、安心・安全である」ということをしっかり認知していただき、お互いがクリアに意思疎通を図ることができる「場作り」から行います。この「場」がなければ、コーチの意図や助言、気づきを与える質問は、相手に届きません。逆に、相手からのメッセージ(発言だけでなく、態度や仕草などのノンバーバルコミュニケーションも含みます)を正しく受け取ることも難しくなります。

 これまで一緒に見てまいりましたように、薬局内でのスムーズな業務は全て意思疎通が機能しており、良質なコミュニケーションによって生まれます。また、スタッフ間の良好な人間関係は、薬局内の雰囲気を柔らかくし、来局した患者さんにとっても居心地の良い空間を提供することにもつながります。

 このことをよく理解している薬局では、上記のような薬局作りのために、コーチングやコミュニケーションスキルを学びたいという意識が高く、勉強熱心です。私と一緒にコーチングやコミュニケーションスキルを学んだメンバーには、薬剤師や看護師、医師、歯科医師などの医療者がたくさんいます。
 また、薬局に勤務する新人薬剤師もますます勉強熱心になり、あまりコーチングやコミュニケーションに興味がない、「ただ調剤だけやってればいいや」というような薬剤師よりも成長が早いです。

 したがって、勉強熱心な薬剤師は地域の医療機関との密な連携が取れていたり、地域内の健康増進や疾患啓発・予防の取り組みを進めているなど、すでに地域包括ケアシステムの中でも重要な役割を担っていたりします。製薬企業から見ても、重要な顧客となりえます。

 このように、コーチングは学ぶ本人が自分の仕事に甲斐を感じ、組織のメンバー全員を一層高いレベルで仕事ができるようなシフトを作りだし、組織を自然と活性化させ、結果を出していきます。だから、

 
・患者さんに心地良い薬局内の空間を味わっていただく

ことができる薬局作りが可能になります。
 皆さまの会社のMR諸氏が薬局でこのようなお話ができれば、薬剤師の満足度を高めることができますし、その先に様々な仕事の拡がりが出てくるかもしれません。

 このように、今回お伝えしたコーチングは製薬企業内でも応用が効きます。製薬企業も組織ですから、同様ですね。MRが自発的に、主体的に考え、動く製薬企業は、非常に強いです。業績も伸びますし、人材も定着します。
 コーチングを学ぶことと活用することを、皆様にお勧めします。

参考までに・・・
私が学んだコーチング → Communication Training Network  URL : http://communication.ne.jp/