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第6回 調剤薬局の在庫に配慮するお話
2017/09/04

皆様、【Oncology MR Training Project】主宰の高橋洋明です。今回も本コラムをご覧くださり、ありがとうございます。
今回は、調剤薬局の在庫について製薬企業やMRが配慮できることをお伝えします。そして、そのような活動を通じて調剤薬局や患者さんの満足度を高められることを一緒に見てまいります。
昨今、薬価が高い新薬が増えております。その中には経口薬も多く、2017年に上市した経口薬の中には、1カプセルで16万円を超えるものもあります
(参考:http://www.okusuri110.jp/pc/yaka/yaka2017/yaka_index_new2017.html)。
以前からアンメットメディカルニーズに応えるべく、希少疾患等の治療薬の開発が進んでおり、それに伴って薬価が高額になる傾向が見て取れます。
このような経口薬が上市されると、皆様ご存知の通り、調剤薬局は非常に神経質になります。
● 高額な経口薬の処方箋がいつ来るのか?
● 在庫をどれくらいの本数、確保すればいいのか?
● その患者さんは確実に来局してくれるのか?
● 経口薬が無効と判断され、主治医が治療を変更した場合、在庫はどうなるのか?
● 在庫がきちんと消化できるよう、患者さんは今後増えていくのか?
● 薬局内での管理はどうするのか?
などなど、調剤薬局が気にしている点は、たくさんあります。
調剤薬局におけるこれらの心配事を、製薬企業やMRの立場で解消することはできるでしょうか?
先日7月22日に、日本医薬品情報学会JASDIフォーラムにて、ある大学病院の薬剤師の先生が、高額な経口治療薬を調剤する薬局との連携について紹介してくださいました。 その薬剤師の先生によれば、自院からその高額な経口薬の処方箋が出る場合、下記のようなプロセスを経ているとのことです。
調剤薬局におけるこれらの心配事を、製薬企業やMRの立場で解消することはできるでしょうか?
先日7月22日に、日本医薬品情報学会JASDIフォーラムにて、ある大学病院の薬剤師の先生が、高額な経口治療薬を調剤する薬局との連携について紹介してくださいました。 その薬剤師の先生によれば、自院からその高額な経口薬の処方箋が出る場合、下記のようなプロセスを経ているとのことです。
1.主治医と常にコミュニケーションを図り、高額な経口治療薬が処方される際は、薬局にも
その情報を共有してもらう。
2.その患者さんに処方箋を持っていく調剤薬局を確認する。
3.2の調剤薬局に事前に連絡し、調剤薬局が対応できるよう患者さんの診療にかかる情報を
共有する。
4.治療効果を芳しくないために処方内容を変更する場合は、調剤薬局に対してそのことを
直ちに情報共有する。
5.これらの情報共有を通じて、調剤薬局に高額な経口薬がジャストインタイムで患者さんに
渡せるようにし、余剰在庫を抱えないで済むようにする。
病院の薬剤部が、上記のように調剤薬局に配慮する取り組みは、その地域の薬局間の信頼関係ができていることの証と言えるでしょう。ですが、このような地域が全国にどれくらいあるでしょうか?私が現在取り組んでいる、日本医業経営コンサルタント協会の研究会の調査で見ても、病院の薬剤部と調剤薬局が密に連携しているケースは非常に少ないです(現状、調査結果は非公表)。このような状況だからこそ、製薬企業のMRの皆様が、病院の薬剤部や調剤薬局の満足度を高めるチャンスでもあります。
MRとしては、自社製品がどこの調剤薬局に納品されたかがわかりますが、より正確に、処方元の病院からどこの調剤薬局に患者さんが行くのかがわかれば、添付文書の改訂等の適正使用の推進を的確に実行できます。その製品を患者さんに渡す際に薬剤師が困ることや患者さんのお話などを聞くこともできるでしょう。患者さんが調剤薬局に来局する前に事前に自社製品を用意していただくことで、患者さんを薬局で待たせなく良くなりますから、調剤薬局に対する患者さんの満足度も向上します。MRが患者さんの満足を高める支援ができれば、もちろん調剤薬局からも感謝されますね。
このように、自社製品が納品されて売上が上がったからよしということではなく、自社製品を気持ちよくお使いいただくためにできることを考えるということも、製薬企業のブランドイメージやMRの評価にもつながります。
明日からのMR活動に活かしてみましょう。
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